紹介した本 | 鳥類学者 無謀にも恐竜を語る |
読んだ時期 | 2021年11月 |
読んだきっかけ | 新潮の100冊で紹介されていた |
こんな人に読んでほしい | 恐竜って何?という方 |
皆さんは、恐竜の事をどのくらいご存知でしょうか。
残念ながら、わたくしはほとんど知らないと言えるでしょう。
映画ジュラシックパークのシリーズは何本か観たことがあります。
幼い頃は、恐竜の図鑑を読んでいました。
「ドラえもん のび太の恐竜」は、観ているはずです。
しかし、ドラえもんに登場するピー助(フタバスズキリュウ)は、恐竜ではなく首長竜でした。もう一度、言います。ピー助は恐竜ではありません。
恐竜って何?
そんな、あなたに本書をお勧めします。
恐竜には、鳥盤類と竜盤類があり、恥骨の向きで区別されます。
竜盤類には、竜脚形類と獣脚類があり、鳥類は、獣脚類から進化してきたと考えられています。すなわち、恐竜の一部が鳥へと進化したのです。この知識は、何となく皆さんも聞いたことがあると思います。
ちなみに鳥盤類は、鳥とは関係がありません。名前が混乱を招く例として、トゲナシトゲトゲや、クロサギの白色型を引き合いに出しています。
鳥類学者である川上和人博士が、鳥を通して、恐竜を想像する本です。
鳥が恐竜から進化したということは、鳥の中には、きっと恐竜の部分があるはずです。
恐竜は、骨しか出てこないので、しかも完全な骨格標本でもありません。骨から想像するしかないのですが、川上博士は、鳥から恐竜の生態を想像したのです。
軽妙な語り口で、豊富な情報が提供されます。
推理ノンフィクションとも言えます。答えはないのですが、鳥が今でも空を飛んでいるという事実はあります。巨大な恐竜がいなくなり、鳥が大空を飛ぶ。その間を埋めるのが想像になります。
豊富に提示された情報をいくつか書いてみます。
恐竜と鳥をつなぐ始祖鳥。でも、シソチョウは、ドイツのゾルンホーフェンで10個体しか見つかっていません。
鳥は腕が翼になっています。一方、天使には腕があって、翼は背中にあるので鳥ではありません。天使は、おそらく肩甲骨が翼になったのでしょう。
ニワトリは飛ばない鳥なので筋肉が多く、食べることがたくさんあります。飛ぶ鳥は軽量化が進み、ニワトリほど食べるところが多くありません。
最近多く見つかっている羽毛恐竜。その羽毛は、鳥の風切羽を想像するかもしれませんが、実はもっとほわほわした繊維状の羽毛でした。
鳥のくちばしには歯がありません。食べ物をほぼ丸のみするので、逆に胃が強力になっています。
ガラパゴスとは、スペイン語で「ゾウガメの」。ガラパゴスゾウガメとは何でしょうか。
恐竜は鳥になったので、実は絶滅していない?
ちょっと書いただけでも興味が湧きませんか。
種の分類方法や、鳥の軽量化の工夫の話もおもしろいです。
そして、川上博士の想像は、毒の話、食べ物、渡り、歩き方、巣、子育て、夜行性と次々と語られます。
この辺りは、本書でご確認ください。
恐竜の骨は、今も発掘され、新種の骨が見つかれば、驚きの新説が出るかもしれません。
本書にも記載されていますが、平和でないと、こうした研究はできませんので、平和を願うばかりです。
あれほど巨大な生物が生きていたことも驚きますし、絶滅したことにも驚きがあり、私が生きているうちにいくつかの疑問に説明がつくことを願います。
鳥類学者が恐竜を考える。
専門性を持って他分野を考察する本書の試みが、面白いと思いました。
アトラン