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バーネットの『小公女』~どんなに辛くても想像力があれば前を向ける~

小公女 バーネット 光文社
発売⽇:2021/4/13 390p

概要

アメリカの作家バーネットによる作品で、19世紀イギリスが舞台です。児童文学の位置付けです。

裕福なクルー大尉の娘セーラは、預けられた寄宿学校でも特別待遇を受け、「プリンセス」と呼ばれていた。だが、ある日父の急逝と破産が知らされるや、すべてを取り上げられ、寒い屋根裏部屋で下働きとして暮らすことに。持ち前の聡明さと空想力、プリンセスの気位で仕打ちに耐えるが……。

光文社古典新訳文庫HP

バーネットの作品は他に「小公子」や「秘密の花園」があります。

装丁

今までにさまざまな出版社から訳が出されていますが、光文社からは最近出版されており(2021年4月)、図書館でも比較的きれいな状態で借りられます。

光文社古典新訳文庫といえば、表紙のシンプルなイラストも印象深いですが、本作は何よりもカラーの挿絵が楽しめることも魅力です。

児童文学のジャンルなのでルビも振ってあるのも特徴です。

章立てが細かいので、毎日寝る前に1章ずつ読むのにちょうど良い長さでした(続きが気になって一気に複数章を読んでしまう時もありましたが…)。

おすすめポイント

まず、主人公セーラの、11歳と思えないほどの前向きさ、気高さに背筋の伸びる思いがします。高級なものに囲まれた生活から一変しても、卑屈になることなく前に進む姿に、心が洗われます。

それでいて、子供らしいあどけなさや、感情の爆発などの場面があり、親近感が持てました。

また、作品の舞台であるイギリスの街並みや、舞台となる学校や屋根裏部屋の情景、セーラの持ち物に関する描写が丁寧で、まるで自分がタイムスリップしたかのような気分を味わえます。

自分たちの忙しい日常から離れて、普段とは違う時代や場所の設定の世界に身を置ける作品です。それでいて時空を超えて、しなやかに生きる秘訣をセーラから学ぶことができました。

こぼれ話

本作の最後に掲載されている訳者あとがきでは、原作の英語表記と発音、それをどのように日本語のカタカナに置き換えたかのエピソードが書かれていました。

主人公セーラの名前は英語表記だとSaraだそうです。確かに、発音してみるとサラ、よりはセイラに近いのかもしれないですが、少し驚いた種明かしでした。

小公女 著者:バーネット 出版社:光文社
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